私は本年度の1定の予算議会に於いてアンデルセン公園の風車は景観法に基づく船橋市の第一号に指定された名誉ある施設であり、またオーデンセ市との姉妹都市の友好関係から故障したまま放置する事は出来ないとして、風車を回さないあるいは限定して回す選択肢もあるのではないかとの立場で質問しました。
更には姉妹都市であるオーデンセ市フュンビレッジ(オーデンセ市フェン野外博物館)にあり、本市のアンデルセン公園の風車の原型となった同一モデルは、私が訪問した当時も現在も風車は回しておらず、デンマークの国民的象徴の風車を安易に電気モーターで、のべつ不自然に回すこと自体、それこそが友好を損ねる以外の何物でもないとも申し上げました。
しかし、本年度一定の予算計上の議会であるため敢えて要望のみとし、答弁を求めませんでした。
その後、本年3月末にアンデルセン公園を訪問、風車守の資格のある公園協会職員立ち合いのもと、風車の心臓部である問題の羽根の回転軸部を詳細に調査致しました。
その調査で明らかになったことを申し上げると、元々羽根を支える長大で太い主軸は1本の木材から作られており、相当な重量があるものであります。しかし今日ならば回転軸は通常ベアリングを用いるのが常識でありますが、昔の事、木製の軸部にグリースを塗り、受け台の石材上で羽根の回転軸を支えて使用してきたものであり、木製の軸を保護するためスウェーデン産の軟質な石材を使用、石材は羽根の回転により少しずつ削られ摩耗していく構造となっており、受け台の石材は消耗品として定期的に交換するものであります。
私はかつて、経済部農水産課で計画された「船橋市都市農業公園」の実現のためアンデルセン公園の計画以前、柏市の「あけぼの山農業公園」をモデルとした都市農業公園の基本計画の作成に携わり、その農業公園のシンボルとしての風車建設のため、デンマークとの姉妹都市とは無関係の立場で、宮城県登米市のオランダ風車を視察いたしました。
その折、割れた石の受け台を交換するためにデンマークから職人が来県しているとの事で、修理前に風車に登り割れた石の状況を調査した経験があります。
ここで判明した事は、風車の要である木製回転軸の保護の為、羽根の回転により軸の受け台の石材が徐々に摩耗する伝統的仕組みの構造となっており、その結果として回転する最も重要な木製の羽根部分の中心軸を保護する構造にしなければならない事が判明しました。
しかしながら本市のアンデルセン公園に於いては、平成30年の風車の回転軸の破損による修理工事では、最も重要な軸部分に強度の弱い鋳物の溝板を風車の木製の主軸に巻き、受け台には強度のある鍛造した鉄のローラーを使用、がっしりと固定してしまった結果、木製軸を覆った鋳物部分の破損に繋がり、使用不可となったものであります。硬い鉄材を使い逆の工法で施工し、破損した鉄部の溶接作業で大量の火花が発生し、火災の恐れにより今日まで風車を放置したままになったものであります。
また本市と同様の自治体が管理する風車を改めて調査いたしましたが、宮城県と登米市のフードピア公園のオランダ風車は平成3年に建設、東日本大震災と本年の福島沖地震により二度に渡り被害が生じましたが、修理後再開するとのことであります。
また千葉県佐倉市の佐倉ふるさと広場にあるオランダ風車は、平成6年に建設以来大規模修繕はないとのことであり、この2市に共通している事は、アンデルセン公園の様に風の有無や向きに関係なく周年羽根を回し続けるのではなく、土日祝日やイベント時で、かつ風のある時と限定し風車を運転し、長寿命化を図っている事であります。
特筆すべきは、両市ともオランダとは姉妹都市との関係が無いにも拘わらずその構造を原型に沿って忠実に再現し、風車守りの職員が常駐し自然の風で風車の羽根を回している事であります。
それに引替え、本市はデンマークのオーデンセ市との姉妹都市の関係が特に深く、風車のみならずデンマークの農家をはじめ何棟もの建築物を再現し、世界的に著名な童話作家のアンデルセンの名を冠したこの公園のシンボルとなっている風車を建設したにも拘わらず、その後の修理の際当初の原型の構造を安易に改変し、単に風の有無や風向きに無関係に毎日回転させ、更にはモーターを使いのべつ風車を回し続けてきたことは噴飯物と言わざるを得ないものであり、また電力エネルギーの無駄遣いに他ならないと思うものであります。
例えて言えば風の強いデンマークが風車なら降雨量の多い日本は当然水車となりますが、この水車が姉妹都市オーデンセ市のヒュンビレッジに友好のシンボルとして建設したとすると、川のないオーデンセ市で日本の水車を電気モーターでグルグルと回し展示する事に等しい行為であり、この低レベルのセンスこそ最も姉妹都市としての友好を損なう行為ではないかと思わざるを得ません。
今年度にはアンデルセン公園の風車の修繕のための点検調査委託費が計上されましたが、船橋市とデンマーク国との友好のシンボルであるこの風車とそして将来に亘って維持管理の長期的財政負担を考えたときに、単に現状の破損した構造物の修理と言った一過性の点検調査委託ではなく、本来あるべき姿つまり原型に戻すことを最優先すべきであり、今後の風車の在り方については船橋市民の理解を得るべく充分な調査と慎重な検討をすべきであると思うものであります。
従って市は今後どのように風車のあるべき将来像を描いて、点検調査委託をしていくのかお伺いします。
更に風車の消火設備でありますが、風車は広場の中心にあり、本体は鉄筋コンクリート造りの木製板張りであるため、外部からの火災の発生は通常では考えられないものであります。
しかし風車内部はほぼ全ての構造が木製であるにも拘らず、スプリンクラーなどの内部からの出火対策がなく、家庭用の消化器と外部の水道からの散水用ホースのみの対応しかなく、現状ではほぼ消化は不可能であります。
また外壁が完全防水の風車に外部からいくら放水しても、内部は全焼してしまうのは必定です。
これは国宝である沖縄の首里城正殿が外部の放水銃は完備していたが、内部からの出火を想定しておらず、あたら貴重な歴史的建造物が全焼した事件と同等の結果を招くと思われます。従って船橋市の景観法第一号であり、また姉妹都市友好のシンボルの観点から新たに風車内部の消火設備の設置について厳に検討をお願いするものであります。
(質問)
そこで質問ですが、今後どの様に風車のあるべき将来像を描いて、点検調査委託をしていくのか伺いたい。また、船橋市の景観法第一号であり又、姉妹友好都市のシンボルの観点から新たに風車内部の消化設備の設置について、検討をお願いしたい。
(答弁)都市整備部長(公園緑地課)
お答えします。アンデルセン公園の風車修繕に向けた状況につきまして、令和4年度予算で風車職人を招へいすることとしておりましたが、予算可決後日程調節を行なったところ、本年5月中の来日が可能と回答があったことから、令和4年5月16日から21日に来船いただき、現状の確認と調査を実施していただきました。
現在は、調査結果報告書の作成を依頼していることろであり、景観重要建造物として指定を受けている風車を、今後も公園のシンボルとして維持していくため、デンマーク風車職人から適宜アドバイスを受けながら、調査結果をもとに建設当初を基準とした整備計画の作成に向けて準備を行なっているところでございます。
また、長寿命化を図るため他の風車の運用状況など研究しながら、計画的な運用、維持管理方法および防火対策も合わせて検討して参りたいと考えております。