風車の羽根が回らなくなって久しいアンデルセン公園ですが、この風車は景観法に基づく船橋市の第一号に指定された名誉ある施設であり、オーデンセン市との姉妹都市の友好関係もあり、このまま放置する事はできませんが、私は風車を回さなくても、あるいは回さない選択肢もあるのではないかとの立場で話を致します。
第一として姉妹都市であるオーデンセン市の当該「アンデルセン公園」の風車の原型となった同一モデルは私が訪問した当時も現在も風車は回しておらず展示のみであり、デンマークの国民的象徴の風車を電気モーターで回す事自体それこそが友好を損ねる以外の何物でもないと言えるものであります。
第二に風の有無にかかわらず電気モーターでのべつ人工的に羽根が回っている風車は全く陳腐であり不自然の感が否めない。
第三に景観法の規定に基づく景観重要建造物に指定された伝統的なデンマーク風車の今後の長期的な維持経費、また風車自体の長寿命化の観点からも「アンデルセン公園」のシンブルとしての存在だけでも充分である。
従って、デンマークの資材を使いデンマークの職人が造った風車は、単なる娯楽のための遊園地のメリーゴーランドではなく、船橋市にとっても二度と建設は困難と思われる貴重な友好のシンボルであり、存在そのものが船橋市民の誇りでもありますので、安易に回すべきものではない事は言うまでもない事であります。
また、よし回すとしても祝祭日やデンマークからの来賓の訪問、あるいはアンデルセン公園に於いて特別なイベントがあった場合にのみに限定すべきであると提言するものであります。
私は先日「アンデルセン公園」に於いて風車守の資格のある公園協会職員と、心臓部である羽根の回転軸を詳細に調査致しました。今回の調査で明らかになったことを申し上げると、元々羽根を支える長大で太い主軸は一本の木材から作られており相当な重量があります。しかし今日ならば回転部はベアリングを用いるのが常識でありますが、昔の事、木製の軸部ニグリースを塗り受け台の石材上で回転軸を支えてきたものであり、木製の軸を保護するためスウェーデン産の軟質な石材は羽根の回転で少しずつ削られて行く構造となっており、受け台の石材は消耗品として定期的に交換するものであります。
かつて、日本で最初の本格的なデンマーク風車である宮城県の風車を、アンデルセン公園の計画が具体化する前に視察した折、割れた石の受け台を交換するためにデンマークから職人が来県しているとの事で風車に登り割れた石の状況を確認致しました。
つまり一番重要な事は、風車の回転軸部の保護のため軸の受け台の石材が徐々に消耗する構造にしなければならない事であります。
しかしながらこれまでの修理では重要な軸部分に最も強度の弱い鋳物の溝板を木部の軸に巻き、受け台には強度の強い鍛造した鉄のローラーを使用しガッシリと固定してしまったことが軸部分の鋳物の破損につながったものであり、これは風車の心臓部である木製回転軸の保護の為、受け台の比重の軽い石材が摩耗していくことが必要であるにも拘らず、鉄材を使い逆の工法で施工したことが問題であると考えられるものであります。
今議会には「アンデルセン公園」の風車点検等委託費が計上されておりますが、長期的視野に立った風車の展示方法及び将来に亘っての財政的負担が見込まれる事から、風車内部を有料で公開するとか、クラウドファンディング等で修理費の一部を調達するのも方法ではないかと考えるものであり、更には永い伝統に支えられた元の原型に戻す事も含め今後の風車の在り方については充分な調査と慎重な検討をされるよう強く要望するものであります。
最後になりましたが、私は「ワンパク王国」建設に関わった経緯から1990年4月に当時の大橋和夫市長の要請を受け、市長、国際交流室、経済部長と共に技術職員として北欧諸国や南フランスなどを視察し、その間2,000枚近くの写真を撮影、その後のコンサルタントの設計に情報提供したものであります。
しかしながら視察中も公園設計時も風車を電気モーターで回すという話は「アンデルセン公園」の発案者である大橋市長からは一度も聞いたことがなく、風車は公園の象徴的なランドマークとしての存在として市長は考えていたと思っています。
県内の「佐倉市ふるさと広場」のオランダ風車は市直営であり、市の風車守が土日祭日に限定して今でも伝統を守り自然の風で回しておりますが、公園の設計に当たり大橋市長の想いはアンデルセン童話の故郷であるデンマークの牧歌的風景の中で、船橋の子供たちを思いきり遊ばせたいとの強い要望があり、ディズニーランドのような商業的遊園地化には頭から反対でありました。
因みにアンデルセン公園の管理棟は元はデンマークの民家であり、童話館は小学校、風車と農家はそのままで、また屋根に草を生やしたボートハウスの管理棟は、ノルウェイのオスロ郊外の公園で見た寒地の農家がモデルであります。
以上要望と致します。